バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
独特の世界観 凝った撮影法
ヒーロー映画「バードマン」の主役で人気者になった俳優リーガン・トムソンは今、落ちぶれていた。レイモンド・カーヴァー原作の舞台を脚色・演出・主演で製作し、再起を図ろうとする。しかし、降板した俳優の代役マイクの横暴な振る舞いや、アシスタントの娘サムとのギスギスした関係などでリーガンは徐々に精神的に追い詰められていく。
今年のアカデミー賞で作品・監督・脚本・撮影賞に輝いた話題作。監督は「バベル」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。バットマンを演じたマイケル・キートンを主演に、脇をエドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツと実力派で固めた。落ち目の中年俳優が現実と空想の間でもがき苦しむ日々を全編1カットに見える奇跡のような撮影スタイルで描く。イニャリトゥ監督独特の世界観を堪能してほしい。(2015年4月23日・酒井)