天才スピヴェット
斬新な映像と異色のドラマ
10歳の少年T・S・スピヴェット(カイル・キャトレット)はモンタナで牧場を営む父と昆虫博士の母、アイドルを目指す姉、カウボーイの素質を持った双子の弟と暮らしていた。弟はスピヴェットと遊んでいる時に銃の事故で亡くなってしまう。以来、スピヴェットは自分を責め続けていた。そんな時、スミソニアン学術協会からスピヴェットの発明がベアード賞を受賞したとの知らせが届く。スピヴェットは1人でモンタナからワシントンDCにあるスミソニアン博物館を目指して旅立った。
ライフ・ラーセンの小説「T・S・スピヴェット君傑作集」を「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督が映画化した。スピヴェットがアメリカ横断の大冒険を通して家族を見つめ直し、絆を深めていく異色のファミリードラマに仕上がっている。ジュネ監督のユニークな映像は斬新で目を奪われがちだが、作品に流れる社会批判も見逃してはいけない。(2015年1月8日・酒井)