天空の蜂
原発テロ描く重厚なドラマ
自衛隊の最新鋭の超巨大ヘリコプター「ビッグB」を何者かが遠隔操作により盗んだ。犯人は国内すべての原発の即時廃棄を要求、応じなければ原発「新陽」に大量の爆発物を積んだビッグBを墜落させると脅す。ビッグBの設計者・湯原(江口洋介)、新陽の設計者・三島(本木雅弘)らは国を失いかねない甚大な被害を回避するため、あらゆる手を尽くす。20年前に発表された東野圭吾の小説を「SPEC」の堤幸彦監督が映画化。今、最も懸念される原発テロの脅威を見応えあるアクションで、原発がもたらす光と影を重厚な人間ドラマに作り上げた。
1945年の敗戦から懸命に再興し、50年代には戦前の生活水準を取り戻した日本。世界中が目を見張った経済成長は、その時代の人々が幸せな未来を目指し生きた結果だ。そして現代。私たちは幸福な未来を子どもたちに約束できると言えるのだろうか。この作品はそう私たちに問いかけてくる。(2015年10月1日・手塚)