妻への家路
記憶障害の妻 切ない夫婦愛
文化大革命時代の中国。党に批判的な知識人イエンシー(チェン・ダオミン)は強制労働所送りとなる。文化大革命が終わり、イエンシーは20年ぶりに帰宅するが、妻のワンイー(コン・リー)は夫を長年待ち続けたことが原因で記憶障害となり、イエンシーを認識できなくなっていた。イエンシーは他人として向かいの家に住み、娘のタンタンの助けを借りながら、妻に思い出してもらおうと努力する。収容所からワンイーに送った何百通もの手紙を読み聞かせ、帰らぬ夫を駅に迎えに行く妻に寄り添う。
「初恋のきた道」「あの子を探して」の名匠チャン・イーモウ監督の最新作。近年はアクション映画も撮っていたが、得意の純愛路線に復帰した。「紅いコーリャン」「秋菊の物語」でコンビを組んだコン・リーを起用し、夫婦の切ない愛のドラマに仕上げた。作品全体にイーモウ監督の細やかな演出のさえが見られる。特に駅で夫を待つシーンが秀逸だ。(2015年5月21日・酒井)