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シネマ1987online

岸辺の旅

死んだ夫との過去を巡る旅

ピアノ教師をしている瑞希(深津絵里)のもとに、3年間も行方不明だった夫の優介(浅野忠信)が突然帰ってくる。優介は瑞希に「富山の海で死んだ」と淡々と語る。そしてこれまでに関わった人々を訪ね歩く旅に誘う。優介が新聞配達をしていたときの店主、アルバイトをしていた中華料理店の夫婦、優介が塾の講師を務めていた村の人たちと触れ合うことによって、瑞希は彼への愛を確かめていく。

湯本香樹実の同名小説を「トウキョウソナタ」「回路」の黒沢清が監督し、第68回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で監督賞を受賞した。

死者と生者が旅をするというオカルトっぽい設定で、背筋が凍るようなドキッとする演出(黒沢清的テイストでも言うべきか)も見受けられるが、違和感はそれほどない。それよりも、この旅を通じて優介が瑞希を包み込む大きな愛が伝わってくる点が、カンヌで評価されたのかもしれない。(2015年11月5日・酒井)

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