俳優 亀岡拓次
安田顕の個性生かした佳作
映画やテレビのドラマを見ていると、「この人、他の映画やドラマでも見たことがある」と思う俳優がいる。この映画の主人公、亀岡拓次もそんな俳優の一人だ。さまざまな役柄をこなしながら、大作から自主映画にまで出演し、大監督はもちろん新人監督にまで重宝がられ、現場のスタッフからの信頼も厚い。それが脇役中心の俳優亀岡拓次である。
映画は亀岡がどのような仕事をしているのかを描いていく。亀岡がいい役者であることと、酒が大好きであること、そして最近独り身の寂しさを感じ始めていることが分かってくる。そんな亀岡がロケ先の長野で知り合った居酒屋の女将(おかみ)を好きになってしまった。酒と演じることだけで生きてきた亀岡の恋はどうなるのか。
戌井昭人の原作を横浜聡子が脚本・監督した。主演は最近映画やドラマでの活躍が目立つ安田顕。有名俳優も出演しているが、安田顕の個性を生かした佳作だ。(2016年3月3日・金川)