僕だけがいない街
母親の死の謎 過去で探る男
三部けいの人気漫画を「ツナグ」の平川雄一朗が監督した。
売れない漫画家の藤沼悟(藤原竜也)は身近で悪いことが起きると時間がさかのぼり、解決するまでタイムワープする「リバイバル」という現象に遭遇する。ある日、悟は母を部屋で殺される。母の死因が過去に故郷で起きた連続少女殺人事件と関係があると気づいた悟は、時空移動できる特殊能力を使い、謎を追っていく。
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」など主人公が同じ過去に何度か舞い戻る映画はこれまで何作かあり、最初はまたかと思わされる。だが悟が、家庭内暴力を振るわれている少女を助けようとするエピソードが素晴らしい。悟の少年時代を演じる中川翼の好演もあり、本作を忘れがたいものにしている。
あの時もっと力を尽くしていたら。そんな悔恨を抱かないために「今」にベストを尽くしたい。見た後、そういう思いが湧いてくる。(2016年3月31日・小野)