スティーブ・ジョブズ
アップル創業者の真実
パーソナル・コンピューターの生みの親であり、56歳の若さで病のため世を去ったアップルの創業者スティーブ・ジョブズ。その人物像を鬼才ダニー・ボイル監督がウォルター・アイザックソンの原作、アーロン・ソーキンの脚本で映像化した。
伝記映画にありがちな個人崇拝もなく、ジョブズを美化もせず、影の部分もさらけ出す。マッキントッシュ、ネクスト、アイマック、と3度の制作発表会の舞台裏を出演者に語らせて彼の変人ぶりを伝えている。ジョブズを神とあがめたい彼のファンはイライラさせられることだろう。その上このドラマには華々しい成功の晴れ舞台にあまり時間が割かれていない。舞台裏では別れた妻と罵(ののし)り合う彼の姿があり、娘リサとの確執と和解も。
ジョブズを演じるのはマイケル・ファスベンダー。世紀のカリスマを演じ切ってアカデミー主演男優賞にノミネートされた。信頼のおける部下であり、友人でもあるジョアンナをケイト・ウィンスレットが演じ、助演女優賞ノミネート。
ジョブズの発明なくして、今世界中で使用されているアイフォーンはなかったかもしれない。これからも彼の伝記は作り続けられるだろう。(2016年4月14日・林田)