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シネマ1987online

スクール・オブ・ナーシング

看護師養成描いた佳作

幼時に母親を亡くした木津川あかね(桐島ココ)は病院で人の生き死にを目にし、心に焼き付けられる。15年後、あかねは熊本県人吉市の看護師養成機関で学ぶことを決意する。そこには年齢も性別も境遇も異なる者たちが通ってきていた。彼らと学内演習に奮闘するうち、病院での実習の日を迎える。あかねが担当することになったのは余命幾ばくもない古村明(榎木孝明)という男だった。最初はいい関係で接していたが、あかねの一言が古村の心を閉ざしてしまう。

養成機関での器材を用いた看護実習などを観客も追体験できるのが貴重だ。境遇がばらばらなあかねの仲間たちが病院での実習で受け持つ患者も、頑固な者、口が悪い者とさまざまで看護の苦労がしのばれる。あかねと古村の関係には、死が迫った者に健常者がどこまで心を寄り添わせることができるかを考えさせられる。

新人の桐島ココが好演し、脇を固める大和田健介や古村役の榎木も適材適所。監督の足立内仁章はこれが監督デビュー作とは思えない頑張りを見せている。関係者ご用達(ようたし)映画と思われるともったいない。看護に関わらない者こそ見逃すには惜しい佳作だ。(2016年7月28日・小野)

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