It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

シン・ゴジラ

第1作に匹敵する傑作

東京湾アクアラインの海底トンネルで崩落事故が発生する。内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)は政府の緊急会議で未知の巨大生物の可能性を指摘するが、一笑に付される。その直後、実際に巨大不明生物が姿を現し、東京を破壊し始める。ゴジラと名付けられた巨大生物に対し、政府は自衛隊に攻撃を命じるが、強力なゴジラの前にはなすすべがなかった。

日本映画としては「ゴジラ FINAL WARS」以来12年ぶりのゴジラ復活で、1954年に公開された「ゴジラ」第1作に匹敵する傑作に仕上がった。これまでのゴジラ映画と一線を画すのは「巨大生物が東京に出現したら、日本政府は対応できるのか?」という点に焦点を絞り、極力ドラマの部分をそぎ落としているところにある。それによって、高いリアリティーが生まれている。

実写版「進撃の巨人」2部作の樋口真嗣が監督と特技監督を務め、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明が脚本・編集・総監督を担当した。お子さま向けのゴジラ映画とは違い、社会性を帯びたビターな作品に仕上がっている。観賞後は自衛隊の在り方や政府の危機管理能力について考えさせられる。(2016年8月11日・酒井)

TOP