シング・ストリート 未来へのうた
音楽が彩る青春と友情
1985年、アイルランドの首都ダブリンに住む14歳のコナーは父親の失業で優秀な私立学校から荒れた公立学校に転校する。両親はケンカが絶えず、学校でもイジメの標的にされたコナーの唯一の心のよりどころは音楽好きな兄と一緒にミュージック・ビデオを見ることだった。
ある日、自称モデルのラフィナ(ルーシー・ボイントン)に一目ぼれし、「僕のバンドのビデオに出ない?」と誘う。急きょ、バンドを組んだコナーはクールな音楽ビデオを撮るために猛練習を行う。
「ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督が自身の体験をもとに撮った青春映画。アイルランド全土で半年かけて数千人のオーディションで選ばれた新人のフェルディア・ウォルシュ=ピーロが主人公を演じている。
80年代のアイルランドの風景やファッション、カルチャーがうまく再現されて、デュラン・デュラン、ザ・ジャムなど当時のヒット曲が彩っている。
青春まっただ中の14歳の少年が彼女を振り向かせようとバンドを組み、音楽を通して仲間たちとの友情を深めていくさまは、見ていて胸が熱くなってくる。(2016年10月6日・酒井)