トランボ　ハリウッドに最も嫌われた男

不屈の脚本家の半生

ダルトン・トランボ（ブライアン・クランストン）は、「恋愛手帖」でアカデミー脚色賞にノミネートされるなどハリウッドで脚本家として実績をあげていた。しかし第２次世界大戦が終わり、米ソ冷戦が始まると、共産主義的思想は徹底的に排除されるようになる。トランボは下院非米活動委員会への協力を拒否したことで、議会侮辱罪で投獄されてしまう。１年後に出所するが、ブラックリストに載ったトランボに仕事の依頼は来なかった。彼は偽名で執筆を続け、「ローマの休日」など数々の傑作を世に送り出していく。

ハリウッド最大の汚点「赤狩り」を描いた作品。愛する家族の支えを得て、仕事を続けた不屈の脚本家ダルトン・トランボの半生が描かれる。監督は「ミート・ザ・ペアレンツ」のジェイ・ローチ。テレビドラマ「ブレイキング・バッド」のクランストンがトランボを演じ、アカデミー主演男優賞候補となった。共演は「運命の女」のダイアン・レイン、「クイーン」でオスカーを受賞したヘレン・ミレンら。

言いたいことが自由に言えない重苦しい時代、自由を得るために闘ったトランボの生き方に、アメリカの良心を垣間見ることができる。（2016年11月10日・酒井）