PK
心が洗われる珠玉作
ベルギーでインド人留学生ジャグー(アヌシュカ・シャルマ)はある青年と恋に落ちる。だが青年はパキスタン出身のイスラム教徒。敬虔(けいけん)なヒンズー教徒であるジャグーの父が敬う導師の予言がもとで別れることになる。帰国後ジャグーはテレビ局でリポーターとなり、「神さまが行方不明」と書かれたチラシを配って回る奇妙な男(アーミル・カーン)と遭遇する。PK(酔っぱらい)と呼ばれるこの男がネタになると踏んだ彼女は密着取材し、テレビ出演させる。常識が通用しない
PKがテレビで話す純粋な問いかけは、やがて大論争を巻き起こし始める。
男女の失恋劇から一転、砂漠に宇宙人が降り立つシーンとなり、奇抜な展開に目を白黒させられるが、宗教を扱ったコメディー映画と分かってきて難しい題材を選んだものと感服させられる。それでいて軽やかで、ラブストーリーとしても一級品だ。「きっと、うまくいく」のラージクマール・ヒラニ監督と主演のカーンがまたもやってくれた。
終盤は涙で画面をまともに見られない。最低2度は泣かされ、心が洗われて気分は晴れ晴れ。最近素直になれず、絶えて泣いていない方には特に推奨の珠玉作だ。(2016年12月15日・小野)