フランス組曲
ドイツ将校と切ない恋物語
ドイツに占領された第2次世界大戦中のフランス。パリから疎開する市民の頭上を容赦なくドイツ爆撃機が襲う。逃げ惑う人々。映画はこのシーンから始まる。
フランスの片田舎でリュシルは夫の帰りを義母(クリスティン・スコット・トーマス)と2人で待っている。そこへドイツの若き将校ブルーノ(マティアス・スーナールツ)が滞在することになった。ピアノで自作の「フランス組曲」を奏でる、軍人らしからぬ彼の姿にリュシルは少しずつ心を開いていく。
厳格な義母の目を気にしながらも2人の間にひそかな恋が芽生える切ないラブストーリー。緊迫した恐怖の中で恋するリュシルを演じる女優ミシェル・ウイリアムズの抑えた演技が美しい。
原作はユダヤ人のイレーヌ・ネミロフスキー。彼女はアウシュビッツで死亡したため、この小説は未完のまま終わり、彼女の死後60年を経て出版され、話題となった。監督・脚本はソウル・ディブ。(2016年2月25日・林田)