アラビアの女王 愛と宿命の日々
自分の生き方貫く女性
実在した探検家で歴史学者、そして第1次世界大戦後にイラクやヨルダンの建国にも影響を与えた英国女性ガートルード・ベルの半生を描く。監督は「フィツカラルド」のヴェルナー・ヘルツォーク。ニコール・キッドマンがガートルードを気高く、意志の強い、知的好奇心の旺盛な主人公として見事に演じている。
ガートルード・ベルはオックスフォード大学を優秀な成績で卒業し、社交界にデビューするが、その境遇に満足できず、ペルシャへ旅立つ。そこから始まった長いアラビアでの生活の中でベルは2度の悲恋を乗り越え、2500キロに及ぶ砂漠縦断に挑戦する。厳しい自然や部族間の対立、ある部族による軟禁などの困難を乗り越えて縦断を成功させる。ベルはアラブの実情や部族への理解を深め、さらに第1次世界大戦後のアラブ世界の中心的役割を担っていくようになる。
アラビアのロレンスと同じ時代に、彼と同じようにアラビアと深く関わっていた女性がいたことを初めて知ることができた。映画を見ることにより未知の人物に出会うことができるのも、映画の楽しみ方の一つだと思う。困難な環境を乗り越えて、自分の生き方を貫いた女性の姿がこの映画にはある。(2017年3月23日・金川)