ひるね姫　知らないワタシの物語

謎を解く鍵は夢の中に

アニメ「攻殻機動隊　STAND ALONE COMPLEX」「東のエデン」の神山健治監督の新作。劇場版オリジナルで原作、脚本も手がけている。

岡山県倉敷市で暮らす女子高生の森川ココネ(高畑充希)は、どこでも昼寝してしまう癖があったが、最近同じ夢ばかり見ていた。時は2020年、東京オリンピックを3日後に控えた日、自動車修理工の父親(江口洋介)が突然逮捕され、東京に連れて行かれてしまう。その謎を解く鍵は自分の見る夢にあると気づいたココネは、眠りに落ちながら、幼なじみのモリオ(満島真之介)と一緒に東京へ向かう。

ヒロインが暮らす倉敷の風景描写がいい。近未来に時代を設定し、夢と現実の世界を行き来する物語にも絶妙にマッチしている。丁寧な絵作りで、クライマックスの夢の世界の悪党ベワン(古田新太)との対決が、現実の世界ではどうなっているのか分かりづらいのが惜しい。

夢は自分では気づかない無意識の疲れを癒やし、現実の世界を生きるヒントを与えてくれることもあるという製作意図は明確に伝わる。魅力たっぷりなファンタジーの佳作で、見る側も眠りを十分に取ろうという気にさせる。(2017年4月6日・小野)