美女と野獣

名作アニメの実写版

名作アニメ「美女と野獣」の実写版。知的で自立した価値観を持つベル(エマ・ワトソン)は閉鎖的な村で孤独を感じていた。ある日、帰らぬ父親を捜してたどり着いた古城で野獣(ダン・スティーブンス)と出会う。それはわがままで傲慢(ごうまん)さゆえに魔女から呪いをかけられ、醜い姿になった王子だった。魔女が残した一輪のバラの花びらが全て落ちてしまう前に、真実の愛にめぐり合わなければ永遠に人間には戻れない。野獣を粗野で恐ろしいと思っていたベルは繊細で優しい心に接し、少しずつ心を開いていく。

力ずくでベルを手に入れようとするガストン役をルーク・エバンスが好演。愉快に話す燭台と時計役に、ユアン・マクレガーとイアン・マッケラン。原作に忠実だが、新たな解釈を加え、絢爛豪華で躍動感にあふれる。有名な主題歌は甘く切ない物語のクライマックスを感動に包む。

呪いが解けた瞬間、王子の瞳の中に野獣と同じもの感じさせるアップは実写だからこそ印象的だ。ビル・コンドン監督は「人を外見で判断してはならない」というシンプルなメッセージを愛と叙情豊かに紡ぎあげた。(2017年4月27日・杉尾久)