帝一の國
パワーが脈動する快作
全国屈指のエリート学生が集う名門の男子校、海帝高校。官僚や政治家を多く輩出する同校では生徒会長を務めた者は将来の内閣入りが間違いないとされる。そんな高校へ首席入学した赤場帝一(菅田将暉)は総理大臣になって自分の「国」を造る野望を果たすべく、生徒会長の座を目指す。だがその選挙戦には本物の政界そこのけのバトルが待ち受けていた。帝一は生徒会長になれるのか。
古谷兎丸原作の人気コミックの映画化。どんな策を弄してでもライバルを蹴落とし、生徒会長になろうとする主人公を生き生きと演じる菅田のほか、親友榊原役の志尊淳、ライバル東郷役の野村周平ら若手イケメン男優がそろい踏みで好演。中でも学内で一人清新な風を吹かせる大鷹役の竹内涼真がもうけ役。目標に猛進する赤場を決して悪く思わず、友達と考えているのも味がある。
監督は「ジャッジ!」「世界から猫が消えたなら」の永井聡。14巻の原作を集約し、赤場が自分の国造りを目指す動機となるピアノ演奏や榊原のボーイズラブのアクセントを強めた見事な脚色を施したのはいずみ吉紘。スタッフ、キャスト全員の力が結集されて、ひたむきに目標に突き進む人間のパワーが脈動して感じられる快作だ。(2017年5月25日・小野)