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シネマ1987online

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

日本アニメがモチーフ

「鋼鉄ジーグ」とは永井豪原作のロボットアニメ。これをモチーフにした珍しいイタリア映画である。

テロの恐怖にさらされているローマで、裏街道をゆくチンピラのエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)は追っ手に追われて川に入り、放射性廃棄物にまみれたのがもとで超人的なパワーを得る。私欲のためにその力を使っていたエンツォだったが、親しかった男が闇取引の最中に殺され、遺児で「鋼鉄ジーグ」の大ファンである娘のアレッシア(イレニア・パストレッリ)の面倒を見る羽目になり、彼女を守るために正義に目覚めていく。2人に悪党ジンガロ(ルカ・マリネッリ)の魔手が迫る。

邦題は原題通りだというから面白い。日本アニメへのリスペクトを随所に感じるが、ダメ男に超人的能力が授かるのがユニークだ。さまざまな弱点を抱える人物がスーパーヒーローになることでフィクションを絵空事にしていない。誰もが共感を持てる人物像を作り上げている。

監督はガブリエーレ・マイネッティ。日本アニメにアメリカンコミックのダークなヒーロー物の記憶、イタリアン・ネオリアリズムの伝統も一作に示した。今後も注目したい俊英の快作だ。(2017年7月20日・小野)

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