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シネマ1987online

君の膵臓をたべたい

思春期の愛に似た友情

偶然にクラスメートの桜良(浜辺美波)の日記を見てしまった僕(北村匠海)は、彼女が膵臓(すいぞう)の病気で余命わずかだということを知る。明るく人気者の桜良と、人と関わることが苦手な僕は、その日から「桜良の死」という秘密を共有することになってしまう。青春を謳歌(おうか)しようとする桜良は、ちゅうちょなく僕の日常に絡んでくるようになる。僕とは正反対の世界にいると思っていた桜良との特別だが普通の17歳の日々が始まった。

「黒崎君の言いなりになんてならない」「君と100回目の恋」などの月川翔監督が、住野よるの原作を映画化。思春期の高校生たちが織りなす愛にも似た深い友情の物語を美しい映像でみずみずしく爽やかに描いている。

少年は少女を失い、やっぱり君の膵臓を食べたいと書いた少女の日記を読む。その時、もうここにはいない、存在しない彼女が自分に触れ続けていることに気付く。

「君の膵臓をたべたい」という衝撃的なタイトルが物語を通してだんだんと深く心に届いてくる。それは私たちの中にもいる大切な人が、語ることのなかった言葉を伝えているかのように。(2017年7月27日・手塚)

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