プラネタリウム
姉妹の悲劇 丁寧に描く
第2次世界大戦前の1930年代、パリで降霊術のショーをするバーロウ姉妹がいた。姉のローラ(ナタリー・ポートマン)は聡明(そうめい)で上昇志向の強い野心家。妹のケイト(リリー=ローズ・デップ)は繊細な神経の持ち主で降霊術の中心だった。ある日のショーがきっかけで2人はフランス人映画プロデューサーのコルベン(エマニュエル・サランジェ)と出会う。コルベンは自宅で開いた姉妹の降霊会で、貴重な体験をする。彼は姉妹と契約し、業績不振の自分の映画会社の復活と世界初の降霊術の映像化を目指す。
女優として歩き出した姉と、コルベンと共に降霊術の映像化に取り組む妹はやがて一緒にいる時間が少なくなり、お互いに理解し合うことも難しくなって姉妹の間に溝ができてくる。大戦前の微妙な社会情勢の中で、姉妹とコルベンを取り巻く環境も大きく変化していく。
「ブラック・スワン」でアカデミー主演女優賞を受賞したポートマンと、ジョニー・デップの娘リリー=ローズが悲劇的な姉妹を堅実に演じ、姉妹の生き方を丁寧に描こうとするレベッカ・ズロトヴスキ監督の意図に応えている。ラストシーンの映画のセットの中の星空が印象的だ。(2017年12月14日・金川)