ラ・ラ・ランド
華やかなミュージカル
ハリウッドで女優を夢見るミア(エマ・ストーン)と、ジャズピアニストとして成功し、自分の店を持ちたいと願うセブ(ライアン・ゴズリング)が出会う。お互いの才能を認め、引かれ合っていく2人だが、セブがサポートで参加したバンドが売れたことで気持ちがすれ違ってしまう。
アカデミー3部門を受賞した「セッション」(2014年)のデイミアン・チャゼル監督の新作。ミュージシャンを目指していた彼ならではの華やかなミュージカルになっている。第89回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞、同女優賞など13部門で計14ノミネートされた。(註1)
タイトルの「ラ・ラ・ランド」とは実際の会話にも使われる言葉で、ロサンゼルスを表すと同時におとぎの国、現実ばなれした精神状態なども意味するのだという。この作品は往年のミュージカルとは違い、全体的にあえて偽物だと印象づけるような演出がなされているように感じる。
これはおとぎの国に住む若い2人の夢物語。スクリーンに展開するキラキラした映像と音楽はフィクションにすぎない。チャゼル監督は大いなる皮肉をタイトルに込めたのかもしれない。(2017年2月23日・手塚)
註1:受賞は監督賞、主演女優賞、撮影賞、美術賞、作曲賞、歌曲賞の6部門だった。