スノーデン
ぶれない反権力の軸
米政府による個人情報監視を暴露、史上最大の内部告発を行なったエドワード・スノーデンを描いた実話の映画化。「プラトーン」「7月4日に生まれて」のオリバー・ストーン監督作品である。
2013年の香港で2人のマスコミ関係者を前に、米政府の情報活動の実態を告発する意思を表明するエドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン・レヴィット)。愛国者だった彼は14年に軍の特殊部隊に志願するが、けがのために除隊となる。やむなく転身してCIAに志願、コンピューターの知識で一目置かれる存在となる。だがジュネーブに派遣されたスノーデンは現地での情報活動で、あらゆる情報を収集できる検索システムによりテロとは無関係な情報まで集められていることを知り、重大な決意を固めていく。
極端な保護貿易主義と人種差別をあおりかねない政策を打ち出しているトランプ新政権の誕生で、オバマ前政権の方が対外的にはましに思える今、虚心坦懐に見るべき作品だろう。いかなる状況下でも権力者が権力を乱用するようなことをやってはならない。反権力の一点でストーン監督は軸が全くぶれていない。そのことに感服する一作だ。(2017年3月2日・小野)