野球部員、演劇の舞台に立つ!
ストレートな青春映画
甲子園出場を期待されていた八女北高校野球部は秋の県大会予選1回戦でまさかの敗退をしてしまう。敗北の責任を巡ってチーム内でも不協和音が広がる。そんなある日、男子部員がほとんどいない演劇部の顧問の三上先生から、野球部員たちに応援要請が来る。
野球だけの人間になってはいけないと考える八幡監督はエースの望月ら3人の野球部員を送り出す。野球に集中したいと3人が反発する一方、受け入れる演劇部員たちも不満を募らせていく。
八女市で長年教師を務めた竹島由美子が実体験をもとにつづった同名小説を「原野の子ら」(1999年)の中山節夫監督が映画化した。主演は渡辺佑太朗、共演に林遣都、宇梶剛士、宮崎美子ら。
久しぶりにストレートな青春映画である。演劇部の助っ人に駆り出された高校野球部員たちの葛藤とその成長がつづられているが、そこにあるのは等身大の高校生の姿である。悩み、憧れ、葛藤、恋と誰もが高校時代に経験した甘酸っぱい感情がこみ上げてくる。秀作とは言えないが、心に残る作品だ。福岡出身のユニットGood comingが歌うテーマ曲「ユビノサキヘ」も作品にマッチしている。(2018年04月19日・酒井)