空飛ぶタイヤ
事故真相に大企業の壁
走行中のトラックが脱輪事故を起こし、外れたタイヤが近くの歩道を歩いていた子ども連れの母親を直撃する。母親は死亡。整備不良を疑われた運送会社社長の赤松徳郎は、世間やマスコミの激しいバッシングを受ける。さらに、取引先を次々と失った上、銀行に融資を断られて会社は倒産寸前になってしまう。
赤松はトラック製造元のホープ自動車に再調査を要求するが、進展しないため自ら調査を始める。そして車両自体に欠陥があった可能性が浮かび上がってくる。そこに大企業の大きな壁が立ちはだかる。
テレビドラマ「半沢直樹」「下町ロケット」でおなじみの直木賞作家・池井戸潤の傑作企業小説の映画化である。主演の赤松をTOKIOの長瀬智也が演じるほか、ディーン・フジオカや高橋一生、深田恭子、笹野高史、岸部一徳などの俳優が脇を固めている。監督は「超高速!参勤交代」の本木克英。
シナリオに無駄がないので、気持ち良いテンポでストーリーが進んでいく。出演者も多いため混乱しそうだが、うまくクレジットをつけてカバーしている。映画としての余韻がもう少し欲しい気もするが、見終わった後の爽快感はなんとも言えない。(2018年06月28日・酒井)