未来のミライ

年上の妹と異世界の旅

「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」の細田守監督の３年ぶりとなる新作アニメ。

建築士の父が建てたモダンな家で暮らす４歳のくんちゃん（上白石萌歌）。生まれたばかりの妹に両親の愛情を奪われて戸惑うが、ある日、中庭で自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ少女と出会う。それは未来からやってきた妹のミライ（黒木華）だった。くんちゃんはミライに導かれるように不思議な体験をすることになる。

くんちゃんはわがままで、おねだりしただけ買ってもらえたように思える鉄道のおもちゃで部屋は散らかし放題。最初は何の同情も感じないほどだが、出しっぱなしのひな人形をミライに協力してこっそり片付けようとする場面がほほ笑ましく、親近感を増す。

異世界への旅での東京駅の場面はファンタスティックで、兄妹の絆を感じさせて強く印象に残る。総じて「家族愛」を描いた作品だが、少子化時代の甘やかされた子供たちへの教育問題も入り込んでいるよう。きっかけ一つで子供は変わるものと、未来への希望を与えるのがとてもいい。細田監督が新海誠監督らと並びポストジブリの最右翼の逸材であることを再認識させられた。（2018年07月26日・小野）