カメラを止めるな!
もう一度見たくなる面白さ
自主映画の撮影隊が山奥の廃虚でゾンビ映画の撮影を行っていた。そこは戦争中、死者をよみがえらせる研究をしていた旧日本軍の施設だったという。撮影中に突然、スタッフが本物のゾンビの襲撃を受ける。出演者にリアルな演技を要求していた監督は大興奮してカメラを回し続ける。しかし撮影スタッフは次々にゾンビ化してしまう。
300万円の低予算で製作され、当初はわずか東京の2館での上映から始まったが、その破格の面白さがSNSや口コミで話題を呼び、全国150館での拡大上映が決まった超異色作。監督と脚本は本作が長編映画初作品で、インディーズで活躍してきた上田慎一郎。出演者はオーディションで選ばれた無名の俳優たち。その巧みな脚本が評判を呼び、日本のみならず、海外の映画祭でも話題を集めている。
この作品、撮影を続行するためにスタッフが七転八倒する姿が、非常に愉快で笑いを誘う。そして、「頑張れ」と叫びたくなる。何が何でも最後まで映像を撮り続けるという執念が、見る者の共感を誘う。根底にあるのはもちろんスタッフの映画に対する愛だ。見終わった後、充実感が漂い、もう一度見たいと思わせる不思議な魅力を備えている。(2018年08月16日・酒井)