検察側の罪人
現在の司法制度問う
東京地検刑事部に配属された沖野検事(二宮和也)は、司法研修生当時の教官だった最上検事(木村拓哉)の下で、女性検察事務官の橘(吉高由里子)と一緒に検察官としての仕事に取り組んでいる。
都内で発生した老夫婦殺害事件で、沖野は最上の指示を受けながら所轄の捜査担当者と共に犯人逮捕に向けて動きだす。しかし、その事件の容疑者には、未解決のまま時効を迎えた殺人事件の重要参考人・松倉が含まれていた。これを知った最上の捜査方針は徐々に変わっていく。
方針変更によって次第に松倉逮捕に向けての動きが出てくるのだが、沖野はこの変更に疑問を持つ。やがて最上と対立し、意外な結末を迎えることになる。
「関ヶ原」「わが母の記」の原田眞人監督が雫井脩介の同名小説を映画化。最上検事や彼の周囲の人間を丁寧に描くことで、現在の司法制度や日本の在り方まで問いかける重厚な作品となった。
映画で初めて共演した木村と二宮の演技や、脇を固める松重豊、酒向芳の個性的な演技も見逃せない。
映画の中で語られる「検事が自分の正義を押し通したら、それは犯罪に結びつく」という言葉が印象に残る。(2018年08月30日・金川)