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シネマ1987online

パパはわるものチャンピオン

レスラーの父親の苦悩

かつて人気レスラーとして沸かせたが、今は悪役覆面レスラー・ゴキブリマスクの大村孝志(棚橋弘至)。息子の祥太(寺田心)には仕事のことを伏せ、大きくなったら教えると約束していたが、ある日、祥太は父親がゴキブリマスクであることを知ってしまう。ショックを受けた祥太は悪者のパパは大嫌いだと言い放ち、学校では級友たちに、父親は人気レスラーだとうそをつく。だが怪しんだ級友たちに、父親が悪役レスラーだとばれてしまう日が訪れる。

板橋雅弘・文、吉田尚令・画の絵本の映画化。そのことを知らないと主人公を演じる現役レスラー棚橋の存在感により、実話に基づく作品かと勘違いしそうだ。映画では悪役だと息子に言えない父親の苦悩がよく表現されている。

勝つことよりも、その人なりの真摯(しんし)さでいかに物事に取り組んだか、その過程が大事なのだとも教えてくれる。その意味で終盤、息子が学校のクラスで見せるパフォーマンスは父親のタイトル戦の場面とともに忘れ難い。

孝志の妻役木村佳乃、プロレスオタクの女性編集者役仲里依紗らの好演も貢献大。監督は藤村享平。まだ若手だが、佳作を作り上げた。(2018年10月25日・小野)

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