日日是好日
茶道通して主人公描く
20歳の典子(黒木華)は大学時代に一生をかけられるものを見つけたいと思いながら過ごしていた。ある日、母の一言がきっかけとなり、同い年の従妹の美智子(多部未華子)と一緒に茶道教室に通うことにする。何も分からない2人に茶道教室の武田先生(樹木希林)は袱紗(ふくさ)さばきから教え、次第にいろいろな作法の指導を始める。武田先生は「お茶はまず形を作って、その入れ物に後から心が入るものだ」と話す。やがて美智子がお茶を習うのをやめ、典子は一人で教室に通うようになる。
典子の生活にも教室の中にもいろいろなことが起こり、お茶への情熱も薄らぐが、それでも典子は教室に通う。典子は一生をかけられるものを見つけられたのだろうか。
原作は森下典子のエッセー「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」。監督・脚本は「さよなら渓谷」「セトウツミ」の大森立嗣。大森監督はお茶の世界を通して、主人公の半生を描く。季節や行事の変化に合わせて映される着物、掛け軸や茶わん、茶花、和菓子は見事だ。
3人の女優の好演で、茶道を知らなくても十分楽しめる作品になった。特に先日亡くなった樹木希林は素晴らしい演技を見せる。(2018年11月01日・金川)