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シネマ1987online

華氏119

米大統領選のからくり

「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」などの数々のドキュメンタリー作品を発表してきたマイケル・ムーア監督の最新作。

2016年11月9日、共和党のドナルド・トランプはアメリカ合衆国大統領選挙で民主党のヒラリー・クリントンを破り、第45代大統領の当選が確定した。その結果、アメリカで何が起こったのか。マイケル・ムーアは「僕らはどれだけ彼を知っているだろう?」と問いかける。人種差別を堂々と表明し、独裁者など強い男が大好きで、女性にはセクハラざんまいのトランプ大統領の足跡を映画は追っている。

そもそもアメリカは左寄りの国でトランプの支持率は低い。大統領選の得票数も、ヒラリーがトランプより300万票多く獲得した。ムーアは1人一票ではない選挙人制度と無投票数が絡み合い、トランプを支持する少数派がアメリカ全土の意思へと変わってしまう恐ろしいからくりを明かしていく。そして、ムーアが未来のために出した答えとは? 手法がこれまでと同じなので少しマンネリ感があるのはやむを得ないが、マイケル・ムーアのアメリカを愛する気持ちがひしひしと伝わってくる熱い作品である。(2018年12月20日・酒井)

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