スリー・ビルボード

母の闘い　読めない展開

米ミズーリ州の田舎町エビングで何者かに娘を殺されたミルドレッド（フランシス・マクドーマンド）。進展しない捜査に憤り、町外れの道路脇にある三つの広告看板に、「娘はレイプされ殺された」「犯人はまだ捕まっていない」「なぜ？　ウィロビー署長」と抗議のメッセージを出す。看板は警察署長ウィロビー（ウディ・ハレルソン）を尊敬する人種差別主義者のジャクソン巡査（サム・ロックウェル）や町の人々の怒りを買う。ミルドレッドはジャクソンたちから脅されるが、一歩も引かずに闘い続けていく。

「怒り」が腹の底にたまっているような映画だが、ブラックユーモアといえるおかしみを持って描かれている。マクドーマンドらの演技も素晴らしい。監督は「セブン・サイコパス」のマーティン・マクドナー。先の読めない展開で、思わぬところへ連れていく手腕に磨きをかけた。

ゴールデングローブ賞ドラマ部門の作品賞を受賞し、米アカデミー賞でも主演女優、助演男優賞を受賞した。真面目に生きてきた女性が理不尽な目に遭わされるという点で、ハリウッドを騒がせているセクハラ問題と通底しているよう。（2018年03月01日・小野）