It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

生きてるだけで、愛。

趣里が体当たりの好演

うつのために過眠症になり、引きこもっている寧子は、ゴシップ雑誌の編集部に勤めている津奈木と3年間一緒に住んでいた。津奈木も仕事にやりがいを感じることなく、淡々と日々を送るだけだった。感情のコントロールが苦手な彼女は、感情のままに理不尽な態度を取って津奈木に接していたが、彼は静かにやり過ごすばかりだった。

ある日、津奈木の元恋人の安堂が現れ、勝手にカフェバーのアルバイトを決めてしまう。渋々働きだした寧子は少しずつ店の人に心を開くようになり、社会復帰に向けて歩みだす。

芥川賞作家で劇作家でもある本谷有希子の同名小説の映画化。監督は本作が長編劇映画デビューとなる関根光才。主人公の寧子を「水の声を聞く」の趣里、津奈木を「あゝ、荒野」の菅田将暉、安堂を仲里衣紗が演じる。エキセントリックで感情を制御できない女と、その彼女と真摯(しんし)に向き合わない男の姿を映画はうまく描ききっている。

主人公は本当にダメダメ女で、そのダメっぷりを体当たりで好演している趣里が素晴らしい。菅田将暉の「あゝ、荒野」の熱演とは違った演技も堪能できる。ファンにはぜひ見てほしい作品だ。(2019年01月03日・酒井)

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