半世界
今後の人生問い掛ける
田舎の山中にある炭焼き窯で39歳の紘は父から受け継いだ備長炭づくりで生計をたてていた。今の仕事に特別な思い入れがあるわけでもないが、仕事を理由に家のことは妻の初乃に任せきりだった。ある日、中学時代からの友人で元自衛官の瑛介と再会する。紘は同じ中学の同級生・光彦も交え、久々に3人で酒を酌み交わす。光彦から紘は息子の明に対して無関心だと言われてしまう。紘は仕事や家族に向き合おうと決意するが…。
傑作である。映画が終わった後しばらく、感動で震えが止まらなかった。この作品は主人公たちを通じて、観客に「生きざま」について問い掛けてくる。それが心をグサリと突き刺すのである。
主演は元SMAPの稲垣吾郎。NHK朝ドラ「まんぷく」の主人公・長谷川博己、「下衆の愛」の渋川清彦、「そこのみにて光輝く」の池脇千鶴が共演している。監督・脚本は「大鹿村騒動記」などの阪本順治。見るべきシーンは数多いが、晴れていながら雨が降っている葬式のシーンは特に名場面だろう。
人生の半分を生きた人間がこれからの人生を見つめ直し、どう生きていていくかについて、この映画は問い掛けてくる。多くの人に見てほしい作品だ。(2019年03月07日・酒井)