そらのレストラン

食材と仲間の大切さ

北海道・せたな町の海が見える牧場で亘理（わたる）（大泉洋）は妻と娘の３人で暮らしている。亘理は農業や漁業、羊の飼育をしている気の合った仲間たちと助け合いながら、乳牛の世話に取り組んでいた。亘理には自分の牧場で生産した牛乳を使って、せたなでしか食べられないチーズを作るという夢がある。しかし師匠であるチーズ職人の大谷（小日向文世）に認められるようなチーズはなかなか作れず、努力を重ねる毎日だった。

ある時、町を訪れた有名シェフの朝田から、亘理たちが作っている食材について褒められる。それをきっかけに亘理は自分たちの食材を知ってもらうスタートとして、１日限定のレストランを開くことを思いつく。その準備の中、突然、大谷が亡くなり、亘理はチーズ作りも牧場経営もやめようかと考え始める。そんな亘理を仲間たちは何とかとどまらせようと説得するのだが…。

循環農業に取り組む実在のユニット「やまの会」をモデルに、食材の大切さや仲間との絆の大切さを教えてくれる映画である。監督は「神様のカルテ」の深川栄洋。大泉がチーズ作りにひたむきな主人公の心情をうまく表現している。せたな町の風景と食の素晴らしさを味わえる作品だ。（2019年03月21日・金川）