ビール・ストリートの恋人たち
黒人差別の問題提起
ニューヨークのビール・ストリートに住むファニー(ステファン・ジェームス)とティッシュ(キキ・レイン)は幼なじみの恋人で、互いに深く愛し合い、結婚を考えていた。ところがファニーは、冤罪(えんざい)のレイプ犯として逮捕される。
ティッシュは留置場にいるファニーを訪ね、彼の子どもを身ごもっていることを告げる。ファニーは喜ぶが、留置場にいる身では何もできない。ティッシュは親子3人で暮らせるように、冤罪を晴らすことを誓う。ティッシュの妊娠を知った彼女の家族とファニーの家族は無罪を得るために真剣に取り組むようになる。ティッシュの母(レジーナ・キング)や父親たちはティッシュの体をいたわりながらも、出産前にファニーの無罪を証明しようと努力する。
こうした物語の合間に、逮捕されるまでのファニーとティッシュの純粋な愛情の様子が描写されて感動を盛り上げる。
監督は「ムーンライト」で昨年のアカデミー作品賞を受賞したバリー・ジェンキンス。ジェームズ・ボールドウィンの原作を情感に満ちた心に残る作品に仕上げている。1970年代のアメリカにおける黒人差別の問題も提起していて、考えさせられる作品でもある。(2019年04月11日・金川)