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シネマ1987online

洗骨

家族再生の過程美しく

風葬された死者は肉がなくなり、骨だけになった頃に、近親者たちの手により骨をきれいに洗ってもらうことで、晴れて「この世」と別れを告げることになる。それが洗骨で、沖縄諸島の粟国(あぐに)島などに残っている風習である。

新城家の長男・剛(筒井道隆)は4年前に他界した母・恵美子(筒井真理子)の洗骨のため、故郷の粟国島に戻ってくる。実家には父の信綱(奥田瑛二)が一人で住んでいたが、妻を失った悲しみから立ち直れず、酒に溺れていた。さらに名古屋で美容師をしている長女・優子(水崎綾女)も帰ってくるが、妊娠していた。それぞれ人生の苦労と思いを抱え、彼らは家族の絆を取り戻せるのだろうか? ガレッジセールのゴリこと照屋年之が自らの短編「born、bone、墓音。」を原案に、初めて映画の監督・脚本を手掛けた。沖縄の美しい風景の中で繰り広げられるほろ苦さの中で、家族の絆とは何なのかを考えさせられる。バラバラだった家族が再生していく過程が美しい。素晴らしいファミリードラマの誕生である。

主題歌には沖縄を代表する歌手の一人、古謝美佐子の名曲「童神」が使われ、効果を上げている。(2019年04月25日・酒井)

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