記者たち 衝撃と畏怖の真実
イラク侵攻の捏造暴く
2001年、米国のブッシュ大統領は大量破壊兵器の保持を理由にイラク侵攻に踏み切ろうとしていた。アメリカ中のメディアが政府の方針に従う中、地方新聞社を傘下に持つナイト・リッダー社ワシントン支局長のジョン・ウォルコットは疑念を抱き、記者ジョナサン・ランデーとウォーレン・ストロベルに、その真相を探らせる。そして「イラクによる大量破壊兵器の保持」というイラク侵攻の根拠が捏造(ねつぞう)されたものであることを突き止める。
「スタンド・バイ・ミー」「恋人たちの予感」のロブ・ライナー監督が実在の中堅新聞社ナイト・リッダーの記者たちの信念と矜持(きょうじ)を描いた社会派ドラマ。「スリー・ビルボード」などのウディ・ハレルソン、「X-MEN」シリーズなどのジェームズ・マースデンが主演している。映画はドキュメンタリータッチで進んでいくため緊迫感にあふれる。イラク戦争を阻止できなかった苦しさも伝わってくる。マスコミの在り方について、深く考えさせられる。
優れた作品だが、すべてのマスコミがイラク戦争に賛成する中、自分たちだけが異をとなえる苦悩をもう少し詳細に描いても良かったのではないかと思える。(2019年05月02日・酒井)