ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
パワフルな描写の連続
「ゴジラ」は力の強い「ゴリラ」と体の大きな「クジラ」をくっつけた割と安直なネーミングだったものが、アメリカに輸出され、「ゴッド(神)ジーラ」とか、「キング・オブ・モンスターズ」とか呼ばれて、神様や王様になってしまった。アメリカ人はゴジラが大好きで、過去に2本、日本から権利を買ってアメリカ製のゴジラ映画が作られており、本作が3本目になる。
二十数年前、アメリカの映画会社が東宝に巨額の使用料を支払った時、「ゴジラ以外の怪獣を登場させても構わないが、モスラとラドンとキングギドラはダメ(使うなら別料金)」と言われたらしい。本作は4大ビッグネームの豪華そろい踏みで、彼らの特性を丁寧に描き、さらにパワーアップしており、迫力と驚きのある描写の連続になっている。ただ、この映画の怪獣たちが戦う理由は地球環境を守護するのか破壊するのか、王の座を狙った覇権争いになっていて生々しい人間みたいだなと思う。
日本のゴジラの日常の中にまがまがしい災害が割り込んでくる感じとも、おおらかな力比べとも違うエンターテインメント大作でありながら、アメリカ人の神や王の考え方が垣間見えて面白い。(2019年06月06日・後藤)