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シネマ1987online

さよならくちびる

行き違う複雑な感情

孤独だった2人が出会い、路上から始めて今やライブハウスをいっぱいにするまでに成長した女性デュオ「ハルレオ」。解散を決め、ハルレオを陰で支えていた元ホストのローディー兼マネジャー、志摩を伴って、最後のツアーに出る。レオは志摩、志摩はハルに思いを寄せている。そして、ハルもレオに特別な感情を抱いている。ツアーをこなしながらも、複雑な感情が交差する。

多くの映画を見ていると、ときたま名作ではないが、ずっと心にしまっておきたい作品に出合うことがある。この映画が私にとってまさにそうである。レオ、ハルそして志摩が互いに気を使いすぎて行き違い、修復不能になり、もがいている姿がとてもいとおしい。作品に流れるみずみずしい感性は心が洗われるような気にさせてくれる。

監督は「害虫」「黄泉(よみ)がえり」の塩田明彦。「恋は雨上がりのように」の小松菜奈がレオ、「世界は今日から君のもの」の門脇麦がハル、「コード・ブルー」シリーズの成田凌が志摩を演じている。

劇中で「ハルレオ」が歌う楽曲は、人気ミュージシャンの秦基博が主題歌「さよならくちびる」を、挿入歌「たちまち嵐」、「誰にだって訳がある」をあいみょんが提供している。(2019年06月13日・酒井)

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