ドント・ウォ-リー
風刺漫画家の半生描く
複雑な生い立ちのジョン・キャラハン(ホアキン・フェニックス)は十代後半から酒浸りの生活を送っていた。ある夜、パーティーで出会ったデクスターと意気投合する。泥酔した2人はデクスターの運転で次の会場を目指す。その飲酒運転で重大事故が起こり、キャラハンは胸から下の機能がまひしてしまう。
リハビリセンターでの訓練によってキャラハンは電動車いすでの生活ができるようになり、住み込みの介護士とともに自立した生活を目指すが、酒は相変わらず飲み続けていた。そんな生活の中で、キャラハンは自分を捨てた母親を捜し始める。母を見つけることはできなかったが、それをきっかけに彼はある禁酒会に参加するようになる。禁酒会に参加し続ける中で、いろいろな人の話を聞き、自分の気持ちをぶつけながらも、自分を見つめ直すことでキャラハンは少しずつ変わっていく。
監督のガス・ヴァン・サントは実在した風刺漫画家ジョン・キャラハンの個性を丁寧に表現することで、彼の生き方や人と人の関わり方の大切さも描いている。キャラハンを演じたフェニックスの心情や表情の変化を表す演技が素晴らしい。他の出演俳優の演技も見応えがある。(2019年06月20日・金川)