いろとりどりの親子
障害を個性として受容
作家アンドリュー・ソロモンが10年間で300組以上の親子にインタビューしたノンフィクションを映像化したドキュメンタリー。ソロモン自身も出演している。
ダウン症のジェイソン、低身長のロイーニ、リアとジョセフ夫婦、自閉症のジャック、殺人罪で服役仲間のトレヴァー、そしてゲイの作家アンドリュー。体や心に障害を持った子供と親が、子供たちの違いにどう向き合ってきたかが描かれる。原作と共通するのはジェイソンだけで映画は6組の家族に焦点が当てられ、アンドリューの語りのような形で映画ならではの構成となっている。
「体が不自由だと心も不自由だと思われている」と語るジョセフ。「治療すべきものと祝福すべきものとの境目がどこにあるのか」とアンドリューは言う。彼ら障害者やマイノリティーは自分がそうあることを「普通」と考えている。親のほうも自分たちとの違いを受け入れていく。子供たちの差異を「個性」として受容している親と子の姿が清らかだ。
日本の社会も徐々に意識は変わりつつあるだろう。だが、まだ遅々としたものに思える。観客が映画を見て彼ら親子の姿から学ぶことは多そうだ。監督はレイチェル・ドレッツィン。(2019年01月17日・小野)