アルキメデスの大戦
戦争を新たな視点で
昭和8年、海軍少将山本五十六(舘ひろし)は海軍の新軍艦の建造について悩んでいた。山本が推す空母建造予算よりも、平山造船中将(田中泯)が提示した巨大戦艦建造予算の方が少なく、戦艦に決定されそうになっていた。
戦艦建造を阻止したい山本の前に現れたのが東京帝国大学を退学させられた櫂直(菅田将暉)だった。櫂はその数学的能力の高さを山本に見込まれ、協力を請われる。軍人や軍隊が嫌いな櫂だったが、山本の説得を受け海軍に入る。
軍の機密保持の壁や戦艦推進派、平山中将の妨害にあいながらも、櫂は乏しい資料や数少ない協力を得て、巨大戦艦建造の問題点を探っていく。軍艦決定会議の場でも櫂はその能力をいかんなく発揮し、空母の建造が決まる。
「ドラゴン桜」の三田紀房の原作コミックを映画「永遠の0」「三丁目の夕日」の山崎貴が脚本・監督した作品。戦艦大和の建造を中心に戦争を新たな視点で問い直そうとする原作者の思いが、監督や出演者の力、特撮シーンのすごさで見事に表現された力作になった。(2019年08月01日・金川)