ジェミニマン

敵は自分のクローン

引退を決めたすご腕スナイパーのヘンリー（ウィル・スミス）。政府から頼まれたミッションを遂行中だったが、突然何者かに襲われる。自分の動きを読み襲ってくる暗殺者に手こずらされるが、アメリカ国防情報局のダニー（メアリー・エリザベス・ウィンステッド）とともに捜査をするうち、殺し屋の正体を突き止める。それは秘密裏に作られた若い自分のクローンだった。

「恋人たちの食卓」「ブロークバック・マウンテン」の名匠アン・リー監督の最新作。人間ドラマで秀作の多い監督だが、「グリーン・デスティニー」などのアクションも得意としていたことを痛感させられる。

中年と青年のウィル・スミス同士の戦いで、スミスは一人二役でも、青年のほうはフルＣＧのキャラクターらしいのに驚くが、アクションのアイデアが素晴らしい。バイクのチェイスシーンなど手に汗握らされる。

克服しなければならない困難や苦悩は自分自身の中にある。そんな諭しもしっかり埋め込んだエンターテインメントである。（2019年10月31日・小野）