荒野の誓い

人間の尊厳描く西部劇

ほとんど評判になっていないが、思わぬ傑作に出くわすことがある。この映画もそういう作品である。

１８９２年、ニューメキシコ州。インディアンとの戦争の英雄で退役間近のジョー・ブロッカー大尉は、収監されていたシャイアン族の首長イエロー・ホークとその家族をインディアン居留地となった彼らの故郷モンタナ州に護送するよう命じられる。渋々命令を受け入れ、４人の部下とともにモンタナへ旅立つが、途中、コマンチ族によって家族を皆殺しにされた女性ロザリーを保護する。

監督は「クレイジー・ハート」のスコット・クーパー。「バイス」のクリスチャン・ベール主演で、「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイクと「ラスト・オブ・モヒカン」のウェス・ステューディが共演している。

久しぶりの西部劇だが、これまでと違い、白人対ネーティブ・アメリカンというパターンを退け、普遍的なヒューマンドラマになっている。新しい視点から西部劇を見つめ直し、人間の尊厳、生と死の重さを考えさせる作品である。（2019年12月05日・酒井）