カツベン!
無声映画弁士の活躍
染谷俊太郎は偽の活動弁士として泥棒一味の片棒を担いで生計を立てていた。しかし、一味から逃亡し、ある町の映画館にたどり着く。そこは人使いの荒い館主夫妻、傲慢(ごうまん)で自信過剰な弁士の茂木貴之、酔っぱらい弁士の山岡秋聲など個性的な面々がいた。俊太郎はそこで本当の活動弁士としてデビューするが、ライバル映画館による妨害で大混乱に陥っていく。
サイレント(無声)映画時代の活動弁士の活躍を描いた愛すべき作品である。監督は「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」の周防正行で、主人公・俊太郎役は「人間失格 太宰治と3人の女たち」の成田凌、ヒロイン役を「プリンシパル 恋する私はヒロインですか?」の黒島結菜が演じる。永瀬正敏、高良健吾、井上真央、竹中直人ら強力メンバーが脇を固めている。
活動弁士がサイレント映画独自のしゃべりで観客を沸かせるシーンを哀愁を持って描いているのが素晴らしい。お正月にぴったりの作品だ。(2019年12月19日・酒井)