さよならテレビ
目を疑うラスト30分
マスコミが信用を失っていると言われて久しい。テレビ局内はそれをどう受け止め、何を果たそうとしているのか? 本作は東海テレビ所属の圡方宏史氏が監督を務めたドキュメンタリーだ。圡方氏は3人の社員(自社ニュース番組のキャスター、「共謀罪」を取材するベテラン契約社員記者、目を覆いたくなる仕事ぶりの若い派遣社員記者)を本作の中心に据えている。
テレビ局員が報道の役割として「権力の監視」があることを説明する。一方で自社制作の番組では、スポンサーの意向に沿った内容を放送する。視聴率を気にする上層部、繰り返される放送事故…。報道に虚しさを感じる中、ラスト10分で私たちはこれまで見たものを疑う展開に陥るだろう。そこで湧き起こる感情は憤りか、失望か、希望か、テレビへのあきらめか。思考と感情を刺激する瞬間をぜひ見ていただきたい。(2020年4月23日・滝田)