彼らは生きていた

第一次世界大戦の記録映像を修復、再構築したドキュメンタリー。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督が中心になって製作した。当時のフィルムを現在の再生速度に合わせたほか、兵士の手記をナレーションさせて昔の人間が「生きている」かのように登場する。

入隊志願する場面はモノクロで、戦場の現実に直面する際はカラーに変わる手法が秀逸だ。入隊時の愛国心は薄れてしまい、凄惨な現場に相対する。彼らにとっての「地獄」は戦場だけでなく、戦いから帰還しても終わらなかった。

本作の出来事は遠い昔のことなのだろうか。平和を甘受する私たちは本作を見て「生きていた」彼らを記憶に留めるべきだろう。（2020年4月30日・滝田）