夕陽のあと
子どもへの愛情問う
鹿児島県長島町で五月はブリ養殖業の夫、7歳の豊和、夫の母の4人で暮らしていた。豊和は赤ん坊の時から育ててきた里子だった。豊和との特別養子縁組の申請を前に、豊和の生みの親が生きていることが分かる。特別養子縁組の許可には生みの親の承認が必要なことから、五月は豊和の生みの親との話し合いを始める。
監督は「海辺の生と死」の越川道夫。貫地谷しほりと山田真歩が親として子どもを育てたいという思いを生みの母と育ての母の立場でそれぞれ見事に演じている。夫の母役の木内みどりや豊和役の松原豊和も長島町の雰囲気にマッチした演技を見せてくれる。
乳幼児や子どもに対する暴力、育児放棄が大きな問題になっている社会に、子どもの育て方や愛情のあり方を養子縁組制度なども絡ませて問いかける。感動深い作品となった。(2020年01月16日・金川)