その手に触れるまで
少年の変化を静かに
13歳のアメッド(イディル・ベン・アディ)はゲーム好きの普通の少年だったが、イスラム教の信者となり導師の影響を強く受けるようになっていく。やがてアメッドは導師の「アメッドの教師イネスは、聖戦の標的だ」という言葉に感化され、イネスを抹殺しようとして失敗する。
少年院に入れられたアメッドはそこでいろいろな人たちに出会い、さまざまな体験をしていく。だが、アメッドは面会に来た母親に心を開こうとしない。少年院で彼はどのように変化・成長していくのだろうか。2019年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。ベルギーのジャン=ピエールとリュックのダルデンヌ兄弟はアメッドの行動を静かに描くことで観客に大きな問いかけをしてくる。主役を演じたアディの好演もあって、84分という短い上映時間ではあるが、印象深い作品になっている。(2020年7月16日・金川)